いきるばのブログ

読めば読むほど味がでる

『関取になれなかった男たち』

 私は子どもの頃からNHKの大相撲中継が好きでよく見ていました。あんなに強かった千代の富士は他界、同じ横綱でもあまり強い印象のなかった北勝海が今や相撲協会トップの理事長ですから、人生わからないものです。

 華やかな世界とばかり思っていた大相撲でしたが、我が家にBSが入るようになり、なんだか地味な世界があることを知りました。少ない観客、同じ色の廻し、裸足の行司さん、、幕下以下の世界です。

「幕内」←「十両」← 「幕下」← 「三段目」← 「序二段」← 「序ノ口」

 一般的な大相撲中継は十両途中から幕内のみ、BSは三段目上位から十両まで、それ以外はほぼ結果を紹介されるだけなんて、そして、十両と幕下の間に天地ほどの差があるなんてことを知ったのは、すっかり大人になってからでした。

 テレビに映る世界って、本当に一部でしかないんですよね。

 さて、本書は、幕下の最上位まで行きながら、関取(十両以上)になれずに引退した力士に焦点を当てた一冊。いきなりお金の話から入って、立合い十分です。

 長年、大相撲を追い続けるスポーツ記者の佐々木一郎氏が著者なので、“間違いない”だろうとは思っていたのですが、どのお話もノンフィクションとしても人間ドラマとしても、一気に寄り切られてしまう内容でした。

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