いきるばのブログ

読めば読むほど味がでる

『ねにもつタイプ』のタイプ

 毎度良い本を紹介してくれるテレビ番組の代表と言えば、NHK『100分de名著』です。

www.nhk.jp

 ここで紹介されると売上が伸びるらしく、仕入に反映させている本屋さんも多いとか。司会の伊集院光さんも仰っていましたが、“100分で読める”という触れ込みへの批判があることは認めつつも、埋もれていた良書が掘り起こされて喜ばれることが番組のモチベーションにもなっているそうです。

 読書離れや書店減少が叫ばれて久しいこともあって、NHKさんでは本や書店を紹介する番組が増えている印象です。今の朝ドラ『舞いあがれ!』にも「デラシネ」という古本屋さんが出てきます。

 ちなみに、デラシネ(déraciné)はフランス語で「根なし草」を意味するそうです。だから又吉直樹さん演じる「おっちゃん」は、ふらっと旅に出たり突然戻って来たりしたりするのですね。

 、、、みたいなことは、ネットで検索すればすぐ出てくる時代に、あえて本を読む、しかも買って読むというのは、売る側からしても、非効率の極みのような気がします。

 でもそこ!そこなんですよ。豊かさってそういうところにあると思うんです。

 すぐに使える知識が欲しければ、ネットでささっと調べれば応えてくれますが、賞味期限は短い。回し車を走るハムスターみたいに、今何周目かを数えることもなくなるような状態に幸せを感じる変態人って、そうはいないと思います。

 だからと言って「本を読め!」も乱暴な話ですけれど、決して読書家とは言えない私でさえ、これまでの何千回(何万回?)のネット検索の結果よりも、これまでに読んだ中の数冊の本が生き方に影響を及ぼしたりしていますので、ふり返ってみれば読書って効率面でも悪くないんですよね。

 そんなこともあって、お金もないのに手間は掛かるは、儲からないはの本の販売もしている私ですが、自分の選んだ本が新聞の書評とかテレビで紹介されると、すごくうれしくなります。

 昨日放送の『趣味どき! ~読書の森へ本の道しるべ~』の第8回では、岸本佐知子さんの『ねにもつタイプ』が紹介されていました。

www.nhk.jp

 こんなことがあると、店では売れ残っていても、“読み”は間違いでは無かった!と安心してしまいます。(もちろん売れた方が良いに決まってますけれど。)

 ちなみに、番組で紹介されていたショーン・タンさん著 岸本佐知子さん訳の『セミ』はうちには置いてないのですが、『いぬ』は新聞に書評が出る前から仕入れていて、これも嬉しかったですね。

 そんなことは経営的には何の意味もないことなのですが、もはや商いではなく、超贅沢な趣味になりつつあると考えれば、貧しいながらも豊かな時間を過ごせているのかも知れません。

 何事も必ず終わりは来ますが、もう少しの間、手放さないように続けてみようと思える出来事でした。

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